ボロネート形成によって促進されるアジド–アルキン付加環化反応の開発に成功!〜他のクリック反応との組み合わせによる多機能分子の収束的合成に応用可能〜

“Boronate Formation-Triggered Azide–Alkyne Cycloaddition”
Jumpei Taguchi,* Yohei Ohata, Honoka Akimoto, Hitomi Tabuchi, Kazunobu Igawa, Katsuhiko Tomooka, Takashi Niwa, Takamitsu Hosoya*
Org. Lett. ASAP (DOI: 10.1021/acs.orglett.5c00732).

ボロネート形成によって促進されるアジド–アルキン付加環化反応(BAAC)の開発に成功しました。アジド-アルキン付加環化反応は、アジドとアルキンが安定なトリアゾール環を形成しつつ連結する優れた反応で、特に、銅触媒を用いる方法(CuAAC)や歪んだ環状アルキンを用いる方法(SPAAC)は穏やかな条件で信頼性高く進行する「クリック反応」として広く用いられています。

今回開発した反応では、アジド基を有するボロン酸とアルキン構造を有するジオール間で可逆なボロネート形成が素早く進行し、その結果アジド基とアルキン構造が近接することでトリアゾールの形成が促進されることを明らかにしました。さらに、本反応はCuAACやSPAACで用いられるアジドやアルキンが共存していても問題なく進行します。この特性を利用することで、ジアジドプラットフォーム分子やジアルキンプラットフォーム分子に対する逐次的なトリアゾール形成による二分子集積を達成しました。本反応は触媒を必要とせず、単一のトリアゾールを穏やかな条件で形成できることから、今後、本反応を発展させることで、生体分子の化学修飾や多機能分子プローブの開発など、ケミカルバイオロジー分野での幅広い応用が期待されます。

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