[2.2]パラシクロファンの([2.2]PCP)の一方のベンゼン環上でアラインを効率良く発生させることに成功! ~2種類の新しいアライン前駆体を開発することで、多彩な[2.2]PCP誘導体の簡便合成が可能に~
“Revisiting the Synthetic Utility of 4,5-Dehydro[2.2]paracyclophane”
Jumpei Taguchi, Yuta Omoto, Konami Uto, Hitomi Tabuchi, Hidehiro Uekusa, Takashi Niwa, Takamitsu Hosoya*
Adv. Synth. Cat. Accepted. (DOI: 10.1002/adsc.202400986)
[2.2]パラシクロファン([2.2]PCP)のアライン種である4,5-デヒドロ[2.2]PCPを穏和な条件で発生できる手法を開発しました。[2.2]PCPはその特徴的な構造のため機能性分子や生物活性分子の部分構造として注目されていますが、多置換[2.2]PCPの選択的な合成は容易ではありません。その簡便合成法として4,5-デヒドロ[2.2]PCPを経る手法は有望と考えられますが、その発生は半世紀以上前の、強塩基を用いて高温で長時間反応させる報告に限られていました。今回の研究では、[2.2]PCPのo-ヨードアリルトリフラート型アライン前駆体およびo-シリルアリルトリフラート型前駆体を合成し、それらからの4,5-デヒドロ[2.2]PCPの発生を検討しました。その結果、両方の前駆体から穏和な条件下で目的のアラインを発生することに成功し、多彩な反応相手との反応が効率的に進行することを見出しました。本手法により、従来の手法では合成困難だった多様な二置換[2.2]PCP誘導体を簡便に合成することに成功しました。今後、材料化学や生命科学といった幅広い分野で有用な[2.2]PCP誘導体の開発への応用が期待されます。
2024.12.6