“Synthesis of Multisubstituted Aromatics via 3-Triazenylarynes.”
J. Taguchi, T. Okuyama, S. Tomita, T. Niwa, *T. Hosoya
Org. Lett.2023, 25, 703

トリアゼニル基を有するアライン前駆体を出発原料として用いる多彩な多置換ベンゼン類の簡便合成法の開発に成功しました。一般にアラインの反応で問題となる位置選択性に関して、反応点近傍にトリアゼニル基を導入した前駆体を用いることで、アライン部位において様々な反応相手と位置選択的に反応することを見出しました。トリアゼニル基は、それ自体を他の様々な官能基に変換することができるほか、トリアゼニル基の隣接位に置換基を導入することもできることから、これらの手法を組み合わせることで、今回開発したアライン前駆体から多彩な多置換ベンゼン類を簡便に合成することができます。本手法により、従来法では選択的な合成が困難であった多置換ベンゼン類の合成が可能となることから、ライフサイエンスや材料科学など幅広い分野に役立つことが期待されます。

“Synthesis of Functionalized Dibenzoazacyclooctynes by a Decomplexation Method for Dibenzo-Fused Cyclooctyne–Cobalt Complexes”
Yuki Sakata,* Ryoto Nabekura, Yuki Hazama, Miho Hanya, Takashi Nishiyama, Isao Kii, and Takamitsu Hosoya*
Org. Lett. 2023, 25, 1051.

アジドとアルキンの付加環化反応に代表される「クリック反応」は、二つの分子を信頼性高く連結する手法として広範な研究分野で利用されています。その有用性から、2022年のノーベル化学賞は、クリックケミストリーと生体直交化学の開発に貢献した3名の研究者に授与されました。とくに、高いクリック反応性を示す環状アルキン類は、アジドと混合するだけで効率的に反応する有用なクリックツールです。しかし、環状アルキンの合成には厳しい反応条件が必要なことから、機能化を行うための修飾用官能基を持った環状アルキンの合成は難しく、拡張性の高い合成法の開発が望まれていました。これに対して、我々は、コバルト錯体化されたジベンゾ縮環型シクロオクチン類の脱錯体化法を新たに見出し、これを鍵としたジベンゾアザシクロオクチン(DIBAC)の高効率合成法の開発に成功しました。本手法により、クリック性官能基であるアジド基を有する環状アルキン−コバルト錯体を容易に合成できるようになり、蛍光性化合物やタンパク質が連結した機能性環状アルキンの簡便合成にも成功しました。本合成法は、従来法よりも官能基許容性が高く、アミド側鎖や芳香環上の機能化が容易になることから、多くの機能を併せ持った高機能環状アルキン合成への応用が期待されます。

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生命有機化学分野(細谷研究室)

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