“1,3-Butadiynyl sulfide-based compact trialkyne platform molecule for sequential assembly of three azides”
Jumpei Taguchi, Kento Tokunaga, Hitomi Tabuchi, Takashi Nishiyama, Isao Kii, Takamitsu Hosoya*
Chem. Commun. 2024, 60, 14581.
3種類のアルキン構造を持つコンパクトなプラットフォーム分子を開発しました。複数のクリック反応性官能基を持つプラットフォーム分子は、複雑な化合物を収束的に合成できるため有用です。今回開発した分子は3回の逐次的なクリック反応によって、3種類のアジド化合物を集積させ、多彩なトリストリアゾール誘導体を効率的に合成できます。従来のプラットフォーム分子に比べたメリットとして、簡単に合成できること、反応相手にアジドのみを用いること、コンパクトな構造であることが挙げられます。本論文ではこれらの特徴を利用して、低分子量の化合物ライブラリーの簡便構築と、タンパク質修飾に利用可能な中分子量の多機能プローブ分子の合成に本プラットフォーム分子を応用しました。本手法は、化合物ライブラリーの構築による医薬品開発の起点になったり、多機能プローブの簡便合成による生体分子の機能解明など、ライフサイエンス分野での幅広い応用が期待されます。
Outside back coverに採択されました!
“Revisiting the Synthetic Utility of 4,5-Dehydro[2.2]paracyclophane”
Jumpei Taguchi, Yuta Omoto, Konami Uto, Hitomi Tabuchi, Hidehiro Uekusa, Takashi Niwa, Takamitsu Hosoya*
Adv. Synth. Cat. Accepted. (DOI: 10.1002/adsc.202400986)
[2.2]パラシクロファン([2.2]PCP)のアライン種である4,5-デヒドロ[2.2]PCPを穏和な条件で発生できる手法を開発しました。[2.2]PCPはその特徴的な構造のため機能性分子や生物活性分子の部分構造として注目されていますが、多置換[2.2]PCPの選択的な合成は容易ではありません。その簡便合成法として4,5-デヒドロ[2.2]PCPを経る手法は有望と考えられますが、その発生は半世紀以上前の、強塩基を用いて高温で長時間反応させる報告に限られていました。今回の研究では、[2.2]PCPのo-ヨードアリルトリフラート型アライン前駆体およびo-シリルアリルトリフラート型前駆体を合成し、それらからの4,5-デヒドロ[2.2]PCPの発生を検討しました。その結果、両方の前駆体から穏和な条件下で目的のアラインを発生することに成功し、多彩な反応相手との反応が効率的に進行することを見出しました。本手法により、従来の手法では合成困難だった多様な二置換[2.2]PCP誘導体を簡便に合成することに成功しました。今後、材料化学や生命科学といった幅広い分野で有用な[2.2]PCP誘導体の開発への応用が期待されます。
“Synthesis of Multisubstituted Aromatics via 3-Triazenylarynes.”
J. Taguchi, T. Okuyama, S. Tomita, T. Niwa, *T. Hosoya
Org. Lett.2023, 25, 703
トリアゼニル基を有するアライン前駆体を出発原料として用いる多彩な多置換ベンゼン類の簡便合成法の開発に成功しました。一般にアラインの反応で問題となる位置選択性に関して、反応点近傍にトリアゼニル基を導入した前駆体を用いることで、アライン部位において様々な反応相手と位置選択的に反応することを見出しました。トリアゼニル基は、それ自体を他の様々な官能基に変換することができるほか、トリアゼニル基の隣接位に置換基を導入することもできることから、これらの手法を組み合わせることで、今回開発したアライン前駆体から多彩な多置換ベンゼン類を簡便に合成することができます。本手法により、従来法では選択的な合成が困難であった多置換ベンゼン類の合成が可能となることから、ライフサイエンスや材料科学など幅広い分野に役立つことが期待されます。
“Synthesis of Functionalized Dibenzoazacyclooctynes by a Decomplexation Method for Dibenzo-Fused Cyclooctyne–Cobalt Complexes”
Yuki Sakata,* Ryoto Nabekura, Yuki Hazama, Miho Hanya, Takashi Nishiyama, Isao Kii, and Takamitsu Hosoya*
Org. Lett. 2023, 25, 1051.
アジドとアルキンの付加環化反応に代表される「クリック反応」は、二つの分子を信頼性高く連結する手法として広範な研究分野で利用されています。その有用性から、2022年のノーベル化学賞は、クリックケミストリーと生体直交化学の開発に貢献した3名の研究者に授与されました。とくに、高いクリック反応性を示す環状アルキン類は、アジドと混合するだけで効率的に反応する有用なクリックツールです。しかし、環状アルキンの合成には厳しい反応条件が必要なことから、機能化を行うための修飾用官能基を持った環状アルキンの合成は難しく、拡張性の高い合成法の開発が望まれていました。これに対して、我々は、コバルト錯体化されたジベンゾ縮環型シクロオクチン類の脱錯体化法を新たに見出し、これを鍵としたジベンゾアザシクロオクチン(DIBAC)の高効率合成法の開発に成功しました。本手法により、クリック性官能基であるアジド基を有する環状アルキン−コバルト錯体を容易に合成できるようになり、蛍光性化合物やタンパク質が連結した機能性環状アルキンの簡便合成にも成功しました。本合成法は、従来法よりも官能基許容性が高く、アミド側鎖や芳香環上の機能化が容易になることから、多くの機能を併せ持った高機能環状アルキン合成への応用が期待されます。